券面右下に 経2 と印字されているのは、口座発売を行った、乗車券・自由席券(自由席特急券、特定特急券、急行券、自由席グリーン券)を表しています。
この場合、経路2(東海道線(在来線)経由)での発売です。
マルス端末における乗車券発売の歴史は、昭和30年代後半から使用された、Y型〜X型〜W型〜V型と呼ばれる時代に遡ります。当時は、指定券に対して、同一の区間の乗車券を1葉で発券する運賃加算の操作のみ可能でした。
時代が進み、昭和40年代後半から登場したN型端末で、乗車券・自由席券の単独発売が可能になりました。このとき採用された発売方法が、口座発売と呼ばれる方法です。
乗車券・自由席券は、発着駅のみならず、乗車する経路によって売り分けることが必要です。これらの経路・運賃情報を、予めホストコンピュータ側で設定しておき、経路番号を指定して発売します。
下記に、乗車駅:東京、降車駅:金沢で、口座照会した例を示します(平成10年4月)。当時、ほくほく線経由が経路7となっており、必ずしも汎用される経路が経路1となっていないことがある点に注目です。
経路番号 | 経路 | 営業キロと運賃 |
経路1 | 東京−新幹線−米原−北陸 | 622.5km ¥9,350 |
経路2 | 東海−北陸 | 622.5km ¥9,350 |
経路3 | 東京−新幹線−名古屋−高山線−北陸 | 681.6km ¥9,870 |
経路4 | 東海−高山線−北陸 | 681.6km ¥9,870 |
経路5 | 上越−信越−北陸 | 514.9km ¥7,980 |
経路7 | 高崎線−上越−六日町−ほくほく−犀潟−信越−北陸 | 460.7km ¥7,570 |
この経路番号は、上記のようにホストコンピュータに照会して知ることができますが、出札のプロは、よく売れる区間に関して、経路番号を覚えていて、一発で発券する技を披露していました。
口座発売に対して、経路を直接入力して発売する、経路入力発売もその後登場し、口座が設定されていないような複雑な経路や、取扱いが僅少な区間の乗車券も発売可能になりました。
現在では、その発展形として発着駅を入力するだけで、経路を自動的にガイドする、経路自動案内機能が主流になっており、口座発売による発売は比較的見かけなくなりました。
なお、経路入力発売や経路自動案内による発売では、右下の「経2」の印字は行われません。